短編一覧
タイトル→本文。 ■→冒頭+説明。 ※付きは注意事項有り。
■ まふるまの闇、さよなら。*
■ 末路の、先 ※※
■ ただあの日の、今には何の意味も為さない話
■ 墓守太郎 ※
■ 日常微動
■ 蛇先生
■ 雨音
■ ユキウタ ※
■ 遠くへ落ちるあの子の希望
■ ハマユウ
■ 曼珠沙華
■ すぐに終わる話
※流血・グロテスクな表現あり。
※その他、注意事項あり。詳細は各作品ページをご覧ください。
拙作には上記のような事項を含む作品があります。苦手な方はご注意ください。
《 やや昔・暗め・原稿用紙11枚 》
拝啓、あなた様
淡い月の夜、私はある意味において再会を果たしたのです。
田舎から出て来た私が出会った魔種。故郷の友に出会ったような気がしたのです。
魔種とは暗闇に棲む、名もなき思念と悪意の塊。〔2014.01.12〕
《 やや昔・微恋愛?・ややうす暗い・原稿用紙45枚 》
甘たるい香りに、むせ返りそうだった。
カタカタと庭に面した障子が鳴る。肌を突き刺す冷たい風が、木々の間を抜けているのだろう。
黒猫先生に拾われた佐織。先生は佐織にとてもよくしてくれる。
先生は、全てをくれた人。〔掲載:2012.01.14〕
※若干いやらしいと取れる表現があります。極度に苦手な方はご注意ください。
※作中に差別的と取れる表現がありますが、あくまで表現上の使用であり作者に差別意識があるわけではありません。
《 現代・ファンタジー・原稿用紙35枚 》
狸沼には近づくな。
私の記憶はそこから始まる。いくつくらいの時であったろうか、とにかく幼い私にそう言ったのは祖母であった。
雨上がりの昼下がり、一人きり。
約束を破るには、ちょうど良いような気がした――。〔掲載:2011.11.20〕
《 やや空想世界・暗い・原稿用紙19枚 》
太郎鬼はクミコの太郎になった。おもちゃである。
クミコは大変、物の扱いが荒い子であった。ある時クミコは太郎の腕を引き抜いて、地面に放った。
全ての獣は、クミコの前に跪く。〔掲載:2010.08.20〕
※流血・グロテスクな表現があります。苦手な方はご遠慮ください。【PG-12/R-12】
《 現代・爽やか・高校生・原稿用紙18枚 》
十七歳、高二、夏。なんて不安定な時期だろう。
入道雲と青空のコントラストを見つめながら、俺はため息をついた。教室から見える景色は、いつもと変わり映えしない。
明日から夏休み、な今日。曖昧なのに変わらない日常。放課後の教室で、それが微かに動き出す――。〔掲載:2009.07.30〕
《 現代・やや不思議・うす暗風味・原稿用紙24枚 》
夕日を見た瞬間、わたしの体は動かなくなった。
帰り道、忘れ物をしてしまったわたしは友達と別れ教室に戻ってきた。二階にある五年生の教室には誰もいなくて、オレンジ色の夕日が差し込んでいた。窓辺のロッカーの下には濃い影。
名前もわからない感情が、わたしを泣きたくさせる。そこに現れた先生。
『先生、この気持ちは、なんですか』〔掲載:2009.07.18〕
《 現代・ほのぼの・原稿用紙7枚 》
さみしい心のすき間に、ぽつぽつ落ちる雨
それでも涙を隠してくれるから雨はやさしい……。
ぼくとお姉ちゃんはふたりだけの家族。外には雨が降っている――お姉ちゃんが、帰ってこない。〔掲載:???〕
《 現代・うす暗い・原稿用紙10枚 》
ある日の朝のことでした 雪のつもった朝でした ひとりの下男が 殺された ころされた
したたる赤は 瑪瑙(めのう)のような 真っ赤な 真っ赤な 血の流れ 下男のまわりの雪んこは きれいな紅になりました
大晦日に歌われる歌。厄払いの歌。由来なんて知らない。
祖母は言う、『一年かけて、ゆっくりと、確実にたまる厄なんだよ』〔掲載:2009.03.24〕
《 異世界・ファンタジー・原稿用紙9枚 》
昔むかし、世界がまだ彼の心の中にあった頃のお話です。世界は彼の御心のままに動いていたのです。彼が笑えば日照りが続き、彼が泣けば世界に雨が降るのです。
彼が全ての世界の中で、彼を非難した男が消されました。
そして彼の元には、少女がひとり訪ねてきたのです。〔掲載:2009.04.12〕
《 やや昔・やや不思議・原稿用紙4枚 》
彼女は、いつも浜に立っていた。
そしていつも、異国へ繋がるあの海を見ていた。
美しい彼女。海を見つめる彼女。
丘から彼女を見つめる僕――月日だけが、流れる。〔掲載:???〕
《 やや昔・うす暗め・不思議・原稿用紙7枚 》
彼女は、いつも浜に立っていた。
そしていつも、異国へ繋がるあの海を見ていた。
美しい彼女。海を見つめる彼女。
丘から彼女を見つめる僕――月日だけが、流れる。〔掲載:???〕